辛酸なめ子『アイドル万華鏡』

ナンシー関さんの著作の愛読者としては、「辛酸なめ子」さんとか「マツコ・デラックス」さんの「テレビや芸能についての本」はいつか読みたいと思つてゐました(しかし、みんなすごい名前だ)。先日本屋で辛酸なめ子の『アイドル万華鏡』(河出文庫)といふ、まさに探し求めてゐたタイトルの文庫を見つけました。さつそくぺらぺらとページを繰つてみると――な、なんと「Berryz工房」の文字が。即、購入。
この『アイドル万華鏡』は「夢想編」といふ「テレビや雑誌で見たアイドルについてのコラム」と「実録編」といふ「イベントで見たアイドルについてのコラム」で構成されてゐます。Berryz工房は「実録編」に登場してゐて、著者がZeppTokyoの「デビュー握手会」に参加したときのことが書かれてゐます。現場の「オタ」についての言及もあり、なかなか面白かつたです。冒頭には、辛酸さんが「ハロプロキッズオーディション」の会場をたまたま通りかかつたときのことも書かれてゐますが、そのエピソードが素晴らしい。6ページくらゐのコラムなので、これ以上内容について書くのは(全部喋つちやいさうだから)自重します。千奈美に、それなりの毒舌もありますので、私同様に気の小さな方は、初めから通して読むことをお勧めします(「Berryz工房」の項になるころには辛酸氏の語り口に多少は慣れてゐるはずです)。
しかし文庫本で「Berryz工房」の文字を見るとは、驚きました。なんといふか、小説などで自分の住んでゐるところの地名が出てきたやうなインパクトがあります。
またまた千奈美に、法月綸太郎の『犯罪ホロスコープ1 六人の女王の問題』(光文社文庫)には「モーニング娘。」が出てきます。と云つても、別に「れいにゃ」が(エラリー・クイーンで云ふところの)ニッキイ・ポーター的な役割で出てゐるとかではなくて、単に会話のなかに出てくるだけですが。さういふのを集めてをられるファンの方(ゐるのか?)は是非、御購入を。


アイドル万華鏡 (河出文庫)

アイドル万華鏡 (河出文庫)